iOFTに行ってきました/メガネの環境への影響(ニュース＆ブログ）｜めがねの荒木:横須賀逗子葉山久里浜のメガネ(眼鏡) 補聴器サングラスコンタクト

ニュース & ブログ（めがねの荒木逗子店）

[逗子店] 2023-10-14

iOFTに行ってきました/メガネの環境への影響

iOFTに行ってきました！

そもそもiOFTというのは日本最大の眼鏡関連の展示会です。
フレームメーカーさんや、部品メーカーさん、修理メーカーさんなどがあつまっているもので、
iOFTの近くではIN GOTというiOFTに参加していない会社さんが出展する展示会もやっていました。

今回はそのiOFTに参加して、これが流行るといいなと思ったフレームメーカーさんのご紹介です。

それがSea2Seeです。

François van den Abeeleさん https://www.sea2see.org/pages/history

写真の方は、SEA2SEEのCEO、François van den Abeeleさんです。

iOFTで(多分)一番サスティナブルを推していたこのブランドは、スペインのバルセロナを拠点とする会社です。

現状では日本のメガネ業界において低環境負荷を全面に押し出している企業はあまりありません。

一応、デモレンズの素材を変えることで環境負荷を少なくしたものや、口述しますがペットボトルを再利用したサングラスを作っているメーカーさんなどはいらっしゃいます。

日本の中で一番大きいフレームメーカーさんといえばラインアートで有名なシャルマンさんだと思いますが、
シャルマンさんの公式サイトを見ても『プラスチック梱包材の見直しによる削減』や『2030年にまでに再生可能エネルギー転換へむけての計画』ぐらいで
メガネの素材云々まではありません。(エクセレンスチタンを推してるからじゃんっていうのは置いといて)

iOFTやIN GOTにおいてほぼすべてのフレームメーカーさんは一様に、今回のデザインは～というのが主で持続可能性といった環境保護への取り組み部分にはノータッチでした。

それが良いか、悪いかでいえば『悪い』ですが高級感や生地の色合いの美しさを求めるのであればどうしようもない部分なのだと思います。

SEA2SEEはその中でも特に環境保護に焦点を当てていたので、とても気になったのですが
「に、、、日本語いける？Can I take a photo of these?っていえば写真撮って良いのかな？？」などを思い悩んだ結果話しかけられませんでした。
私はいつもこうやってイベントに行ったり、コンサートに行っても話しかけられずに終わって後悔しています。

では何故、IOFTでSEA2SEEが良いと思ったのか？というと、そもそもメガネに使われる素材が環境負荷の高いものが多いからです。

主にメガネのフレームは、大きく分けて金属製かアセチと呼ばれるアセテート素材、可燃性が高いためにヨーロッパなどで
輸入も出来ないセルロイド、TR90などの柔軟性の高いプラスチック素材などでできています。
その中でも多く使われているのがアセテートです。

セルロイドは磨くと美しいツヤが出る為、人気の素材ではありますがアルコールなどの刺激の強いものに結構弱かったり
可燃性の高さから製造国が限られるなどデメリットもある素材です。
そのデメリットを解決して、美しさや加工のしやすさなどを実現しているのがアセチ(セルロースアセテート)なのですが、そのアセチをつくる際の環境負荷は高いです。

綿花を使用して、それを漂白する工程などが含まれ、更に作られたセルロースベースの繊維製造には大量の有機溶剤を使うなど結構な環境負荷がかかります。
更に綿花の栽培に大量の水が必要ですし、綿花の栽培に使われる農薬はどのくらいなのか、そもそもその農薬は環境にどの程度の影響を与えるのかを消費者は知りません。

天然の素材を使っているからサスティナブルであるとは簡単に言えない理由がそこにあります。

金属の加工も同じです。なのでAppleなど様々な電子機器メーカーが、リサイクルしたアルミニウムを使用といったことを声を大にして言っています。
日本メーカーが特に加工で強みを持つチタンも、もちろん加工や採精製や採掘で環境に悪影響をもたらします。(Appleの新しいiPhone15Proで使っているチタンは特にリサイクルじゃないみたいですよ)

というのがメガネを取り巻く環境です。
正直良いとは言えません。

そんな中でSea2Seeのフレームとサングラスは、海洋プラスチックを回収してそれを元に作製しています。
スペイン、フランス、セネガル、ガーナの海洋プラスチックを回収して再利用するため新しく石油を使わなくても良いですし、綿花の栽培も必要ありません。
プラスチックの回収によって、海洋汚染の削減にも繋がりますし、現地の人に回収をしてもらうので僅かですがアフリカの地元の人の収入になります。
素材が素材なだけに、フレーム一つ一つの価格もそれほど高くなく
一番高いサングラス付け替えが出来るフレームは￥31,500、ジュニア向けフレームが一番安く￥20,280ほどです。(１€=￥157で換算)
エシカルが売りだと結構お値段が張ったりしますが、ここのフレームはお求めやすい価格帯で出しているのもポイントです。
あまりに高ければ顧客が絞られ過ぎてしまい、やっていることは素晴らしいのに普及しない・・・ということにもなりかねません。

じゃあ実際どのくらい既存のフレームよりも環境に悪影響を与えないのかというと、公式サイトには以下のように書かれています。

"The report on Sea2see by DCycle, which awards the "seastainable" pioneers carbon negative certification, highlights the low environmental impact of Sea2see's glasses and sunglasses.
The low impact of the company goes through 2 major points.
Firstly, through the avoidance of manufacturing and processing new raw materials such as cellulose acetate and nylon.
And secondly, through the use of manufacturing processes which are energy-efficient and translate to low CO2 emission and consumption of fossil fuels.
It concludes that Sea2see "seastainable" sunglasses - made from recycled marine waste -
are 61% less contaminating than Virgin Nylon 6 sunglasses, while the Sea2see optical frames are 86% less contaminating than Cellulose Acetate, and 79% less than TR90 Grilamid frames."
「DCycleによるSea2seeのレポートは、カーボン・マイナス認証のパイオニアである "seastainable "に授与され、Sea2seeのメガネとサングラスの環境負荷の低さを強調している。
Sea2seeの環境負荷の低さは、Sea2seeの環境負荷の低さは2つの点で実現されている。
第一に、酢酸セルロースやナイロンといった新しい原材料の製造や加工を避けること。
そしてもうひとつは、エネルギー効率が高く、CO2排出量と化石燃料の消費量が少ない製造工程を採用していることである。
海洋廃棄物をリサイクルして作られたSea2seeの「seastainable」サングラスは、
バージン・ナイロン6のサングラスよりも61％汚染物質が少なく、Sea2seeのオプティカルフレームはセルロースアセテートよりも86％、TR90グリラミドフレームよりも79％汚染物質が少ないと結論づけている。」

※DCycle・・・環境保護に取り組む企業を支援するソフトウェア企業
※バージン・ナイロン6または、ナイロン6バージン・・・石油から抽出された原料で作られたナイロン6樹脂のこと。いろんなものに使われているみたいです。

販売本数が少ないからなのか、アフリカで回収された海洋プラスチックは漁業関係者に手伝って頂いているようですが毎月各国で25kgぐらいらしく思ったほど回収できないんだなぁというのはあります。
ですが、それでも回収しないよりは断然マシですし、新しく石油を精製したり綿花を栽培するよりは環境負荷も圧倒的に低くもっと広まって欲しい活動だと思います。

プラグラの公式サイト https://shop.plagla.jp/

日本だと別の取り組みで、かつ当店での取り扱いは無いですが「プラグラ」さんという鯖江のメーカーさんが、ペットボトルからサングラスを作っています。
リーディンググラスや生分解性のブルーライトカットレンズを採用したものも作られています。

今のところSEA2SEEのフレームを販売しているお店は日本国内で公式サイトを見る限りだとないみたいですが、EU圏外にも出荷はしているようなので
もし気になった方は検討されてみてはいかがでしょうか？

逗子店 [ フレーム ] 2023-10-14